この業界に足を踏み入れることに躊躇する声をよく耳にする。
僕としては、そんな段階で悩んでいるから成功しないのだとは思う。
あるレベル以上の資産を手にした段階で、
どうしても事業のイメージをクリーンにしたいのであれば、色々やり方はある。
基本的に金で買えないものというのは存在しない。
投資をしてもいいし、会社を買い取ってもいい。
経営サイドに参入してほしいという話は、こちらが何をしなくても舞い込んでくるようになる。
基本的に僕は儲かる話にしか乗らないようにしているから、
あまりそういうオファーを受けることはないけど。
名刺に印刷する社名に、お堅いやつが必要になったら、そういう提案にYESと答えればいい。

それに、人脈に気を配ってさえいれば、業界イメージなんて取るに足らないものだ。
どんなジャンル同士にだって交流は存在する。
重要なのは、人が動くときに、自分がそのゲートウェイ的存在になれるかどうかだ。

デザインや美容、自動車関連のショーでは、出展者だけではなく、
ゲストや報道を含めて色んなジャンルの人間が動く。
その時に、会場近くのホテルを安くブッキングできる人間になっておく。
あるいは、希少なチケットを少し余分に手に入れられるようにしておく。
それだけで、色んな人間がイベントの時期に僕へ連絡をしてくるようになる。
ここで大事なのは、連絡をしてきた人間に、可能な限りよくしてやることだ。
どこかで噂を聞きつけて、僕に連絡をしてくる人間には、
何をしているのかわからない、付合うだけ無駄だと思えるような奴らもいる。
でも、とにかく「いいですよ」といって安くホテルを都合してやる。
余った招待券があれば分けてやる。
これはほとんど投資と同じだ。
絶対、どこかで回収できる。
9割は無駄になるけど、残りの1割で、
このショーを足掛かりにしてステップアップする人間が生まれる。
成功した人間は必ず恩返しに来る。
これは本能みたいなものだ。
僕も基本的にはいつも、返し忘れた恩がない状態にしてある。

ゲートウェイ役を三年ぐらいやれば、
その人のイメージは「業界」や「事業」の内容よりも、
「人脈」にまつわるものになっていく。
そうやって横のつながりをどんどん強くしていくと、
金が金を呼ぶような状況になるのだ。